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エッセー/アングロアメリカ
アメリカ合衆国での大規模テロ・発生当日
小田康之(GEO Global代表・在サンフランシスコ)

 ショッキングな映像がテレビで繰り返し流されています。ここ米国に限らず,世界中で同じように人々はテレビに釘付けになっていることでしょう。

 ニューヨークの景観の象徴ともいえる世界貿易センタービルに,ハイジャックされた旅客機が突っ込み,ツインタワーの両方が崩れ落ちる光景など映画以外で誰が目にすると思ったでしょうか。

 これを執筆しているのは米国太平洋時間で9月11日午前2時過ぎ(日本時間午後6時過ぎ)です。3大ネットワークを始めとするキー局は,テロ発生からコマーシャルなしで終日国内の模様を伝えています。ニューヨークは,そろそろ夜が明けようかという時間ですが,犠牲者の数は,ごく大雑把な推測を除いては全く明らかになっていません。

 ここサンフランシスコも,終日異様な雰囲気に包まれました。サンフランシスコのランドマークとなっているビルの先端が尖ったトランスアメリカピラミッドなどは,直ちに閉鎖。ゴールデンゲートブリッジも歩行者は通行止めとなりました。非常事態宣言のもと,市役所や公立の学校も閉鎖です。

 全米の空港が閉鎖されたのと同様,サンフランシスコ国際空港も閉鎖となり,すべての便がキャンセル。着陸便もカナダやハワイなどに向けられました。着陸の認められた太平洋を越えてきたタイ航空便は,軍用機の護衛を伴って着陸するという事態です。

 3時間ほど前に,こちらで流れているNHKニュースを見ました。これは日本の朝のニュースを編集して流したものです。興味深かったのは,世界貿易センターで働く日本企業の安否のほとんどが詳細に確認されていることです。米国企業従業員の安否は,こちらのテレビでもほとんど報道されていない中で,その子細な把握ぶりは対照的です。

 日本の本社とのコミュニケーションが,日本の駐在員の大きな仕事でもあるので,当たり前とも言えなくもないのですが,それにしても報道のされ方の違いが興味深い限りです。

 米国のメディアは,犯人の特定に慎重でした。というのも,オクラホマ爆撃事件の時に,すぐにイスラム過激派を疑う報道をしたものの,結局ティモシー・マックベイという米国人の犯行と判明した苦い経験があるためです。

 とは言うものの,やはりこれだけの大規模かつ計画的な犯行は,やはりイスラム過激派の仕業なのでしょう。米国へのテロ行為の際には,つねに背後に見え隠れする容疑者リストのナンバーワンに挙がオサーマ・ビン・ラーデンが関係しているのでしょう。

 これもこれから徐々に明らかなってくるはずです。

 事件発生当日のアメリカの雰囲気は,戦争に突入したかのようなものでした。真珠湾攻撃に例える発言を聞くこともしばしば。

 大統領専用機エアフォースワンを戦闘機が護衛しながら,大統領がワシントンに戻る映像は,ツインタワー崩壊の映像とともに,映画を思わせるものでした。

 このアメリカの今の国民感情は,報復というはけ口を求めています。ホワイトハウスでは夜を徹して状況の分析が行われていることと思いますが,冷静な判断がなされてゆくことを願うのみです。

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