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ベトナム旅行記
柳原延枝
 96年11月末、初めてベトナムに観光旅行に行きました.そのときのベトナムの印象を述べます.旅程はハノイ→ハロン湾グループツアー→ホーチミン→メコンクルーズツアー→クチトンネルツアーでした.

 一般的な都市の印象:まず「騒がしい、子供が多い、元気」という印象を受ける.経済的には10年前に実施された「ドイモイ政策」が効をなし、外国企業の進出も多く、かなり自由市場化が進んだという雰囲気が感じられた.

 気候・風土:1年を通じ日本の初夏から真夏の気候.湿度は非常に高く時たま夕方に土砂降りが降る.

『船内で勉強するガイドの卵たち』

 メコン川:よく写真で見られる通り泥っぽい河だが非常に豊かである.透明度はゼロの水の中で人が潜って漁獲用の網を仕掛けたりしている.参加したメコンクルーズではどこまでもジャングルの茂みが続いたが、多くの人々の生活の場もジャングルのすぐ隣に見えた.泥色の川から網を仕掛け終わった子供、板の橋を渡る買い物帰りの人たちや学校帰りの子供たちに出会った.

 ベトナムの人々:フレンドリーで「名前は?」の次の質問は「年は?」である.概してベトナムの人は誠実・勤勉という印象を受ける.特に印象的であったのは、ハロン湾のクルーズでボートを運転していた青年やツアーガイドが時間があれば英語のテキストや辞書を読みつつ勉強している姿である.人々は朝早くから夜遅くまでよく働く.子供たちは元気よく、とても健康的によく遊ぶ.時たま歩道に白い線が引いてあることがある.これはアフターファイブにはネットが張られてバドミントンのコートになる.その他バドミントンの羽の蹴鞠のようなスポーツ、ボールを蹴って遊ぶ子供たちの姿はよく見かけた.

 食糧事情:非常に豊かな土壌で耕作された作物はおいしい.ベトナム戦争時代ナバーム弾や枯葉剤攻撃を受けたところでも食料は欠かさなかったとうガイドの説明を受けて、三毛作も可能な土地の豊かさを感じた.

 戦争の影響:この記憶は新しく生々しい.今回は特に戦争をテーマに現地の人々と話をする機会はなかった.都市の建設についても、1990年以降にほとんどの建物がつくられた様子が見受けられた(各個人の家の入り口の建設年度を記載する習慣があるようで、1990年以降のものが多かった).戦争により一度すべてを灰にし、それからつくったという印象を受けた.戦争ですべてを失ってゼロからスタートしてこれだけ発展できるくらい豊かな土地とこの国のパワーを感じて帰国した.

 その他、ここでは伝えられない多くのこともありますが、紙面ではこれで失礼いたします.

[本エッセーは、1997年2月発行の地域研究組織GEO Newsletter第1号に掲載されたものです]

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updated:2002.7.16