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アマゾン探検に思うこと
鳥飼 達博(GEOメンバー)
 昨年末に早大探検部の学生が、アマゾンで消息を絶ったというニュースが日本に舞い込んだきた.しかも舞台はまたペルーだという.結局、軍関係者の蛮行という不幸な出来事ということで一件落着のようである.個人的には、彼ら(早大探検部の学生)に同情する気は全然ない.むしろ、探検であるならば、自己責任であるし、たとえ道半ばで終わっても仕方がない.むしろ問題にしたいのは、この事件でまたペルーのイメージが損なわれたことである.

 当時の過剰な反応により、大統領もすぐに極刑を考えると応じた.まだ、裁判もしていないのに.日本ではアマゾン=危険、ペルー=危険、中南米=危険、との短略的な考えが広がっている.当地に長く住んだものにとって悲しい状況である.彼らもまさか自分の死が、この様な波紋を投げかけるとは思わなかっただろう.なぜなら、彼らは当然イキトス周辺がどれほど危険で、自分らの持つ10数万円の金が当地でどれほどの価値を持つかなど、詳細に研究した上で、リスクを負いながらも、出かけたはずなのだから.

 探検とはその様なものなのだから、早稲田もすぐに大学職員を送ったりして、マスコミ等をあおったりしなければ良かったにと思う.彼らは探検部の人間で、猿岩石やドロンズとは性格の異なる“探検”をしていたのだから.

[本エッセーは、1998年1月発行の地域研究組織GEO Newsletter第2号に掲載されたものです]

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updated:2002.07.26