1999.04.17
第28回コロキウム
民族地域としての南モンゴル
−中国内モンゴル自治区−

ゲストスピーカー:ボリジギン・セルゲレンさん
(東京大学大学院法学政治学研究科研究生, 中国 内モンゴル自治区出身)
日時:1999年4月17日(土) 6:10−9:00pm
会場:九段社会教育会館 学習室(3F)
担当オーガナイザー・司会:高野靖子

 モンゴル民族の一部分である南モンゴル地域を取り上げ、南モンゴル人が直面する近現代国際社会、中国国内政治・経済における問題点を指摘。美しいスライドやOHPも使いながら南モンゴル人の生活についても活写いただきました。
 セルゲイさんのご友人で千葉大大学院博士課程にてモンゴル相撲と日本の相撲についての文化人類学的研究を進めていらっしゃるボルドーさんからもお話いただきました。
■ボリジゲン・セルゲレンさんの発表レジュメ■

1.モンゴル民族から見た南モンゴル

 南モンゴルはモンゴル民族居住地域の一部分であり、近代国際政治の変動により南北に分断され、現在の形になった。南モンゴルにモンゴル族の半分に近い380万人が在住し、その他の中国領内にも60万人のモンゴル人がいることが確認されている。近代史において、南モンゴル、内モンゴル、漢南モンゴル等の呼び方があるが、1947年以後、内モンゴル自治区の名称が使われるようになった。

2.モンゴル族の生活習慣と文化

(1)自然観と宗教観
1 天と大地は畏敬の念を持つべき存在
2 仏教とシャーマニズムが共存する信仰の世界
(2)遊牧文化と食生活

3.内モンゴル自治区成立経緯

(1)満州国勢力下の東部モンゴル
1 満州国における東部モンゴル ― 近代社会への移行の試み
2 敗戦後、東部モンゴル人が迫られた選択 ― 内外モンゴル統合の試み
(2)西モンゴル徳王の「蒙彊連合自治政府」
1 日本人への依存と国民党との調和を図った両面性
2 内モンゴル人民共和国臨時政府の成立と滅亡
(3)南モンゴル人知識人と南モンゴルの運命
1 南モンゴル知識人の種類
2 南モンゴル知識人の新たな一面、その未熟性と非民族性(不団結性)

4.内モンゴル自治区と新中国 ― 中国のモンゴル民族問題
(1)新たな民族弁別と命名によっての「中国化、人民化、国民化」
(2)民族政策と民族間の政治的、経済的格差の拡大問題
(3)一律の「民族平等」による辺境地帯の統一性と地域発展格差の矛盾
(4)政府に対するモンゴル人の異議申立てと「民族分離主義」の問題
(5)国際社会環境に左右される国内の民族問題
(6)国内政治政策とモンゴル人問題

5.内モンゴル自治区における開発問題への提言
(1)知られざる南モンゴル ― その自然環境と人々
(2)市場経済下の「周縁」と「辺境」

二次会の様子です.乾杯!!そして,セルゲイさんとボルドーさんです.
updated:2002.07.23