北米、欧州に並ぶ世界の三大経済地域でありながら、EU(欧州共同体)NAFTA(北米自由貿易協定)のような地域の枠組みを持たない東アジア。共同体意識を育むに足る歴史的・文化的背景に欠くというジレンマの中で、89年に出された一つの回答がAPEC(アジア太平洋経済協力)の創設である。毎年の首脳会議も恒例化し、創成期から安定期に入ったといえる今、APECのこの10年間を振り返りつつ、APECの現状をレビューしたい。
また、先般、金大中韓国大統領から提案された北朝鮮の参加や、揺れる中国・台湾が共に参加する稀有な国際フォーラムとしての意義等、APECの将来の可能性についても、有用な示唆を与えられればと思う。