第10回コロキウム
EU経済 ―その制度と展望―
ゲストスピーカー:亀田啓悟さん(慶応大学経済学部博士後期課程)
1996年7月13日(土)
慶応大学経済学部卒業後、東京銀行内幸町勤務を経て現在慶応大学経済学部博士課程1年の亀田啓悟さんをお迎えし、EU統合の歴史を経済学的側面から、非常に雄弁にお話していただきました.
コロキウム開始ぎりぎりまで20枚ほどに及ぶレジュメを経済学を知らない人でもわかりやすいようにエネルギッシュに作成されている姿に学者のイメージを一新させられました.
以下が亀田さんのメッセージです.
「今日の日本経済を考える上でヨーロッパ経済との比較、検討をすることは実は非常に重要である.日本経済が直面している問題の多くは、ヨーロッパ経済が数年前に直面したことである.長引く不況、増加し続ける社会保障負担、膨大な財政赤字、など今なおヨーロッパを苦しめている問題が日本にも生じはじめている.ヨーロッパはこれらの問題を経済統合という歴史的実験により克服する路を選んだ.国家の枠組みを越えて、国境のもたらすコストを無くし、市場規模を拡大することで新たなる利益を創造しようというのである.頭の良すぎるユーロクラート達の独善だとする考え方もあるが、考えられる一つの方法として十分考慮に値すると言えよう.さてここから得るべき教訓は次の二つである.
我々は日本をどうすればいいのだろうか.
我々はどのような未来を欲しているのだろうか.
慶応義塾大学 亀田啓悟」
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