ジオ・グローバル    
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メルマガ/vol.30
2002.11.15
Contents

(1)「ピースボート周航記(2)インドの山奥で!...ヨガ体験」
渡辺真帆(コミュニケーション・コーディネーター)

みなさん、こんにちは。

 行事案内用のメルマガ GEO Global Magazineで詳細はお伝えしましたが、12月7日(土)に第42回コロキウム「私たちは再びアフガニスタンを忘れるのだろうか?」と恒例の12月パーティーが開催されます。楽しい集まりになること受け合いですので、お知り合いもお誘いあわせの上、ご参加ください。パーティーは会場準備の都合上event@geo-g.comまで参加申込みのメールをいただけると助かります。
GEO Globalの行事に初めて参加するという方も、お気軽に。詳しくはこちらを参照ください.

 明日、11月16日(土)には、新サブグループ Vital(バイタル)の設立準備会・勉強会導入編と懇親会も開催されます。詳しくはこのURLをご覧ください。

 さて、今号のGEO Global Magazineでは、前号につづき渡辺真帆さんの連載「ピースボート周航記」。今回は、インドに上陸。さてその山奥で繰り広げられたのは...

小田康之(oda@geo-g.com

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★「ピースボート周航記(2)インドの山奥で! ...ヨガ体験」
渡辺真帆(コミュニケーション・コーディネーター)
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9月16日(月)

 シンガポールを発ってから3日の後、ついに私達の乗ったピースボートは待ちに待ったインドに到着した。船が着いたのは南インド、ケーララ州のコーチンにある港で、コーチン市内まで20分ほどの場所にある。船は午前中の11時頃に入港し、その後インドで下船する人達は入港手続きをすませ、現地でそれぞれのオプショナルツアーに参加するため、シャトルバスに分乗して意気揚揚と出発して行った。

 ここでピースボートの各寄港地でのオプショナルツアーについて簡単に説明したいと思う。ピースボートはNGO団体として、各寄港地で様々なボランティア活動をしたり、現地の人との真の交流というものを目指しているそうで、それらの活動をオプショナルツアーとして参加者の人にオファーしている。今回の2日間のインド滞在中も硬軟合わせて10個くらいのオプショナルツアーがある。その中にはコーチン市内観光から、現地NGO団体との勉強会、インドカレー体験に、インド市内のホテル泊の2日間小旅行など様々なものがある。各オプショナルツアーには、添乗員さんと共に私達CC(通訳)がお供することになっており、今日の私の担当は、「一日ヨガ体験」である。

 参加者が下船する30分前に船を下り、今日一緒に働くピースボートスタッフの香織さんと一緒に、現地のガイドさんと打ち合わせをする。当たり前だけど港で働いている人達はみんな色黒なインド人達で、頭や腰に色とりどりの布をまいて、うさんくさそうな顔をしてこちらをじいーっと凝視してくる。インド英語がとっても苦手な私は、打ち合わせの時に、一体彼らはどんな英語をしゃべるんだろうと身構えていたが、ガイドさんの英語が思ったよりも聞き取りやすく、ほっとする。打ち合わせ中にちらっとシャトルバスの向こうを見ると、自転車に乗ったチャイ(紅茶)屋さんが出ており、おいしそうだなぁ?と眺めていたら、英語の上手なガイドさんが「一杯おごりだよ」と言って甘いミルクティーをサービスしてくれた。なかなかうれしいスタートである。

 70人ほどの参加者と、私と添乗員の香織さんを乗せたバスはコーチン市内から郊外に向かって走って行く。インドは初めての私は、仕事も忘れて興奮しっぱなしである。砂埃の舞うバス停でいつ来るとも分からないようなバスを待つ、サリーを着た母子。色とりどりのインド映画のポスターの数々。屋台のような小さなレストランで、カレーを右手で上手に食べている男性。そしてピンク色のきれいなサリーの裾をたくし上げてスクーターを運転している若い女性。これまで私の頭の中だけで想像していたインド人の生活が、今目の前でまるで映画のシーンのように鮮やかに繰り広げられている。圧巻である。そして見る顔見る顔、本当にインド人である。
「当たり前だけどさ、ほんとにインド人だね、こりゃ」と思わず香織さんに言うと、笑い上戸の彼女は「ひゃっははは」とひとしきり笑った後に、「あー、その気持ち分か持ち分かるよー」と言った。

 30分ほどかけてバスが着いたところは、サロバラムと呼ばれる施設で、今日私達一行はその施設の中にあるアート・オブ・リビングというヨガを教えているNGO団体を訪問し、ヨガを実際に教えてもらう予定である。毎日ヨガの教室が開かれているというその施設は、木造の吹き抜けの屋根の高い建物で、屋根から送られてくる扇風機の風が心地よいリラックス空間を作っている。

 そちらの代表者のヨギの先生にまず挨拶をし、今日のヨガ教室の打ち合わせをする。リーシと言う名の、貫禄のある70歳くらいのその先生は、ピースボート一行が来たことを大変喜んでくれ、「今日はみなさんに元気になって帰ってもらいましょうね」と私にニッコリ笑ってくれる。先生は楽な格好になった参加者達をゴザの上に座らせ、早速ヨガの呼吸法を伝授する。

 私は通訳なので先生の横にぴったりとくっついていたのだが、それにしても彼のインド英語、本当にアクセントが強くてかなりの苦戦を強いられる。先生の唇の動きを読まなければ、はっきり言ってヒンズー語にしか聞こえない。ということで意識を最大限に集中して彼の口の動きを近距離でじぃ?っと見て、なんとか彼の使うヨガ用語を日本語に訳して行く。途中あまりに聞き取れなくて逃げちゃいたくなったが、この山奥で70人の日本人の参加者達に通訳できるのは私だけなんだなと思うと、やはりがんばらなくっちゃと思う。しかしヨガのポーズを取りながら通訳をして説明しなければいけないので、息をつく暇もない。先生の口の動きを凝視しながらも、できるだけ先生の口調に近づけて、「は?い、吸って?、吐いて?え」などと通訳をしてみるのは、なかなか面白い経験だった。

 結局ヨガのセッションとその後の瞑想のセッションは2時間半に渡り、終わった時には参加者も私もかなりお疲れムードになっていた。その後アート・オブ・リビングのメンバーの皆さんとの交流会が持たれ、ケーララ州の伝統舞踊や歌を歌ってもらったり、ピースボート側からも日本の歌を歌ったり盆踊りを教えたりなどした。締めくくりはおいしいインドカレーで、現地の人達もみんなで一緒に食べて幸せになった。ちなみにカレーは黄色いものや緑のものや色とりどりで、ときどきびっくりするくらい辛いものもあった。

 9時半頃、今夜の船への帰船リミットが10時のため、まだ現地の人と交流をして名残惜しそうな参加者達をひき連れて再びバスで船まで戻って行った。車窓から見えるコーチンの夜の町を眺めながら、しかし今日の通訳は本当にハードだったけれど、私の頭と体もなんだかヨガで癒されたような感じがしていた。まだたった一日だけどすっかりインドの魅力に参ってしまったマホであった。


【筆者プロフィール】
渡辺真帆 神奈川県、横浜市出身。99年秋に渡米。今年5月にサンフランシスコ州立大学、ジャーナリズム学科を卒業後、帰国。在学中から日系新聞社、日米タイムズで英文記者として様々な分野の記事を書く。現在は船で世界一周の旅をするNGO団体、ピースボートの第39回クルーズに通訳スタッフとして乗船しており、洋上で通訳業に奔走する日々を送っている。
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updated:2002.11.15